歯周病の初期症状とは?〜見逃さないための8つのサインと対策
- 2026年3月24日
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歯ぐきから血が出た経験はありませんか?
「たまたまだろう」と見過ごしてしまう方が多いのですが、それが歯周病の始まりかもしれません。歯周病は日本人が歯を失う原因の第一位であり、成人の約80%がかかっているとされる身近な病気です。しかし、初期段階では痛みがほとんどないため、気づかないまま進行してしまうことが大きな問題となっています。
私は長崎市岩屋町で「いのうえ歯科 道の尾オフィス」の院長として、日々多くの患者さまのお口の健康を守るお手伝いをしています。予防歯科に力を入れる中で、歯周病の早期発見がいかに大切かを実感しています。
この記事では、歯周病の初期症状として見逃してはいけない8つのサインと、その対策について詳しくお伝えします。
歯周病とはどんな病気なのか
歯周病は、細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患です。
歯と歯ぐきの境目に汚れが溜まると、そこに多くの細菌が停滞し、歯ぐきの辺縁が炎症を起こして赤くなったり腫れたりします。この段階では痛みがほとんどないため、多くの方が気づかずに過ごしてしまいます。
さらに進行すると、歯を支える骨が溶けてしまい、最終的には歯が抜けてしまうこともあります。歯周病は「沈黙の病気」とも呼ばれ、知らず知らずのうちに進行していくことが特徴です。
歯周病の直接的な原因は「プラーク(歯垢)」です。プラークは歯やその周囲に付着する乳白色・黄白色の粘着物で、1グラム当たり1000億個もの細菌が含まれています。このプラークが溜まった部分は炎症を引き起こしやすくなり、放置すると細菌が増殖していきます。
プラークは時間が経つと硬くなり、歯石と呼ばれる物質に変化します。歯石はブラッシングだけでは取り除くことができず、その中や周囲に細菌が入り込み、歯周病を進行させる毒素を出し続けます。
出典日本臨床歯周病学会「歯周病とは?」より作成
見逃さないための8つの初期症状
歯周病の初期症状を早期に発見することが、歯を守る第一歩です。
以下の8つのサインに当てはまるものがあれば、歯周病の可能性があります。ぜひセルフチェックしてみてください。
1. 歯磨きのときに歯ぐきから出血する
歯磨きの後やフロスを使った時に血が混じるのは、正常な状態ではありません。
これは歯周病の初期症状の可能性があり、歯の喪失へ至る最初の段階を示している可能性があります。時々であっても、歯ぐきから血が出たら、そのまま放置しないようにしましょう。
2. 朝起きたら口の中がネバネバする
朝起きた時に口の中が粘つく感覚がある場合、細菌が増殖している可能性があります。
就寝中は唾液の分泌が減少するため、細菌が繁殖しやすい環境になります。このネバネバ感が続く場合は、歯周病の初期サインかもしれません。
3. 歯ぐきが赤く腫れている
健康な歯ぐきは薄いピンク色で引き締まっています。
しかし、歯周病になると歯ぐきが赤色や赤紫色に変化し、歯と歯の間の歯ぐきが丸みを帯びて膨らんできます。鏡で自分の歯ぐきの色をチェックしてみましょう。
4. 口臭が気になる、または指摘された
口臭の発生には様々な原因が考えられますが、歯周病もその一つです。
歯周病菌が出す毒素や、炎症によって生じる膿が口臭の原因となります。自分で気になる場合や、家族から指摘された場合は注意が必要です。
5. 歯ぐきが下がり、歯が長くなった気がする
歯ぐきの後退は加齢などに関連しよくある症状ですが、歯周病の可能性もあります。
歯ぐきが下がると歯根が露出してくるため、歯が通常の状態よりも長く見え、歯と歯ぐきの境目に隙間を感じるようになります。また、知覚過敏の症状が悪化することもあります。
6. 歯と歯の間に食べ物が詰まりやすい
以前よりも食べ物が詰まりやすくなったと感じる場合、歯周病が進行している可能性があります。
歯周病によって歯を支える骨が溶けると、歯と歯の間に隙間ができやすくなります。これにより食べ物が詰まりやすくなり、さらに細菌が繁殖しやすい環境になってしまいます。
7. 歯ぐきを押すと血や膿が出る
歯ぐきを指で押したときに血や膿が出る場合、歯周病がかなり進行している可能性があります。
膿が出るということは、歯周ポケット内で細菌感染が起きている証拠です。この段階になると、早急な治療が必要になります。
8. 歯が浮いたような感覚がある
歯が浮いたような感覚や、噛んだときに違和感がある場合も要注意です。
これは歯を支える骨が溶け始めているサインかもしれません。さらに進行すると、歯がぐらつき始め、最終的には歯を失ってしまう可能性があります。
出典日本臨床歯周病学会「歯周病とは?」より作成
歯周病の進行段階を知る
歯周病は段階的に進行していきます。
日本歯周病学会では、歯周病の進行段階をステージ1からステージ4に分類しています。それぞれの段階を理解することで、現在の自分の状態を把握し、適切な対応をとることができます。
ステージ1:歯肉炎(手遅れ度:微小)
歯と歯ぐきの境目にプラークが溜まり、歯肉の上部が赤く腫れます。
痛みはほとんどなく、歯磨きをすると出血がある程度です。この段階では自宅での適切な歯磨きで改善できる可能性があります。
ステージ2:軽度歯周炎(手遅れ度:小)
歯と歯ぐきの境目にプラークや歯石が付着し、歯肉の炎症が見られます。
歯磨きをすると出血があり、場合によっては痛みを伴うこともあります。歯周ポケットの深さは3〜4mm程度になります。この段階では歯科医院での治療を検討すべきです。
ステージ3:中等度歯周炎(手遅れ度:中)
歯肉の炎症がひどくなり、歯ブラシで痛みも出てきます。
歯周ポケットが4〜6mmと深くなり、歯が少し動くこともあります。歯を支える骨も半分近くまで破壊が進んでいます。この段階ではすぐに歯科医院で治療を受けるべきです。
ステージ4:重度歯周炎(手遅れ度:マックス)
歯肉の炎症に加え、歯周ポケットから膿や出血があります。
歯周ポケットは6mm以上と深く、歯はぐらぐらと動きます。歯槽骨が半分以上破壊され、歯を失うリスクが非常に高い状態です。今すぐ歯科医院で受診する必要があります。
歯周病になりやすい人の特徴
歯周病の直接的な原因はプラークですが、いくつかのリスクファクター(危険因子)があります。
以下の因子に当てはまる方は、歯周病になりやすい、あるいは進行が速い傾向にあります。
喫煙習慣がある
タバコを吸う人は吸わない人に比べて歯周病になりやすく、進行も速くなります。
タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させるため、歯ぐきの血行が悪くなり、栄養や酸素が行き渡らなくなって歯ぐきの組織を弱めます。また、血流が悪くなることで白血球やリンパ球などの働きも低下し、免疫も弱くなります。
歯ぎしり・食いしばりの癖がある
就寝中に歯を強い力ですり合わせる「歯ぎしり」、強く噛みしめる「食いしばり」の癖があると、歯や歯ぐきに大きな負担がかかります。
その結果、歯ぐきの組織が脆弱になり、歯周病にかかりやすくなります。歯ぎしりや食いしばりにはストレスも関与しているとされています。
糖尿病を患っている
糖尿病の人は2倍以上も歯周病にかかりやすいとされています。
高血糖になると唾液分泌量が減り、口の中が乾きやすくなります。また、免疫力が低下するため、細菌感染しやすくなります。逆に、歯周病が糖尿病を悪化させることもあり、相互に影響し合う関係にあります。
歯並びが悪い
歯並びが悪いと、溝の部分にプラークが溜まりやすくなります。
また、磨き残しも発生しやすいため、歯周病が起こりやすくなります。親知らずや詰め物がある箇所にも炎症がよく発生します。
歯周病を予防するための対策
歯周病は予防できる病気です。
日々のセルフケアと定期的な歯科検診を組み合わせることで、歯周病のリスクを大幅に減らすことができます。

毎日の正しいブラッシング
歯周病予防の基本は、毎日の正しいブラッシングです。
特に歯と歯ぐきの境目を丁寧に磨くことが大切です。ヘッドが小さく、柔らかめで毛先が丸いタイプのハブラシ、または電動ハブラシを使用し、歯肉縁に注意を払いましょう。
フロスや歯間ブラシの活用
ハブラシだけでは歯と歯の間の汚れを完全に除去することはできません。
フロスや歯間ブラシを使って、ハブラシが届きにくい部分の歯垢を取り除くことが重要です。1日1回、就寝前に使用することをおすすめします。
定期的な歯科検診とクリーニング
定期的に歯科医院で検診を受けることで、問題が見つかったら悪化する前に対処することができます。
いのうえ歯科 道の尾オフィスでは、エアフローによるクリーニングを取り入れています。エアフローは、専用のパウダーと水をジェット噴射することで歯の表面の汚れを除去するクリーニング方法で、通常のクリーニングでは落としにくい着色やバイオフィルムを効率よく除去できます。
コーヒーや紅茶、ワインなどによる歯の着色が気になる方にもおすすめで、歯の表面を傷つけにくいのも特徴です。
生活習慣の見直し
喫煙者の方は禁煙を検討しましょう。
また、バランスの取れた食事、十分な睡眠、ストレス管理なども、免疫力を高め、歯周病予防に役立ちます。糖尿病などの全身疾患がある方は、その治療も並行して行うことが大切です。
いのうえ歯科 道の尾オフィスでの歯周病治療
当院では、歯周病の予防と治療に特に力を入れています。
患者さま一人ひとりのお口の状態に合わせた治療を提供し、将来にわたり歯ができるだけ長く保存できるよう努めています。
歯周基本治療
治療の基本となる、プラーク・歯石の除去を行い、粘膜や舌などをクリーニングして歯周病原菌を口腔内から除去します。
口腔内を清潔に保つには毎日のご自分でのブラッシングも欠かせません。歯科衛生士による丁寧な歯磨き指導を行い、セルフケアも並行で行います。
エアフロークリーニング
当院では、エアフローによるクリーニングを導入しています。
専用のパウダーと水をジェット噴射することで、バイオフィルムや着色汚れを効率的に除去します。通常のクリーニングでは落としにくい汚れも、歯の表面を傷つけることなく取り除くことができます。
インプラント治療前の歯周病管理
インプラント治療を成功させるためには、事前の口腔内環境の管理が重要です。
特に歯周病がある場合は、インプラント周囲炎などのリスクを防ぐため、歯周病治療を先に行うことが必要になるケースもあります。当院では、歯周病の検査やクリーニングを行い、インプラントに適した口腔環境を整えてから治療を進めていきます。
メンテナンスの重要性
歯周病治療後は、再発予防のためのメンテナンスが非常に大切です。
定期的にクリーニングを受けることで、歯周病の再発を防ぎ、インプラントや天然歯を健康な状態に保つことができます。当院では、患者さまの状態に応じて適切なメンテナンス間隔をご提案しています。
まとめ
歯周病は日本人が歯を失う原因の第一位であり、成人の約80%がかかっている身近な病気です。
しかし、初期段階では痛みがほとんどないため、気づかないまま進行してしまうことが大きな問題です。今回ご紹介した8つの初期症状に当てはまるものがあれば、早めに歯科医院を受診することをおすすめします。
歯周病は予防できる病気であり、早期発見・早期治療が何よりも大切です。毎日の正しいブラッシング、フロスや歯間ブラシの活用、そして定期的な歯科検診を習慣にすることで、歯周病のリスクを大幅に減らすことができます。
いのうえ歯科 道の尾オフィスでは、予防歯科を中心とした歯科医療を提供しています。エアフローによるクリーニングや、患者さま一人ひとりに合わせた治療法を丁寧に説明し、納得していただいたうえで治療を進めることを大切にしています。
歯ぐきの出血や腫れなど、少しでも気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
生涯自分の歯で食事ができることを目標に、一緒にお口の健康を守っていきましょう。
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【著者情報】

いのうえ歯科 道の尾オフィス 院長 井上 大雅(いのうえ たいが)
長崎大学歯学部卒業後、長崎大学病院総合歯科診療部をはじめ、東京・神奈川・長崎の複数の歯科医院で研鑽を積む。現在は「いのうえ歯科 道の尾オフィス」院長として、患者一人ひとりに合わせた丁寧な治療計画の立案と説明を重視し、納得いただいたうえでの治療提供に努めている。
むし歯や歯周病の「予防」に注力し、生涯自分の歯で食事ができることを目標とした歯科医療を実践。パウダークリーニングを用いた快適なメンテナンスや、ホワイトニング・審美歯科にも力を入れ、機能性と美しさの両立を追求している。
インプラントやセラミック治療に関する専門的な研修・セミナーを多数修了し、幅広い臨床経験と知識をもとに質の高い医療を提供。地域医療にも積極的に関わり、学校歯科医や歯科医師会の委員としても活動している。
■ 主な経歴
・長崎大学 歯学部 卒業
・長崎大学病院 総合歯科診療部 勤務
・西砂歯科医院(東京) 勤務
・まいおか町歯科(神奈川) 勤務
・ありがとう歯科医院(長崎) 勤務
・大村ファミリー歯科(長崎) 勤務
■ 所属・資格
・日本顎咬合学会
・日本歯科医師会
・長崎大学歯学部同窓会 本部理事
・長崎市歯科医師会 委員
・長崎県歯科医師会 委員
・滑石中学校 学校歯科医
■ 主な研修・認定
・OSSTEM IMPLANT マスター専門医認定
・Osstem AIC Master Course(Basic / Advance Surgery / Advance Prosthetic)修了
・CAD/CAM関連セミナー(形成・咬合・研磨)修了
・YAGレーザー臨床応用
・その他 インプラント・セラミック関連研修多数修了



