インプラントに年齢制限はある?〜治療可能な年齢と注意点を解説
- 2026年3月20日
- インプラント

「もう年だから、インプラントは無理かもしれない」
そんな風に思っていませんか?
実は、インプラント治療には明確な年齢の上限はありません。
70代や80代の方でも、お口の状態や全身の健康状態が良好であれば、インプラント治療を受けることは十分に可能です。一方で、若い方でも顎の成長が完了していない場合は、治療を控えたほうがよいケースもあります。
年齢だけで治療の可否が決まるわけではなく、大切なのは「お口と体の健康状態」なのです。
この記事では、長崎市岩屋町の「いのうえ歯科 道の尾オフィス」院長として、インプラント治療に携わってきた経験をもとに、インプラント治療と年齢の関係について詳しく解説します。何歳から何歳まで治療が可能なのか、年齢に応じた注意点は何か、わかりやすくお伝えしていきます。
インプラント治療に年齢制限はあるのか?
結論から申し上げますと、インプラント治療に法律で定められた年齢制限はありません。
厚生労働省や日本口腔インプラント学会でも、インプラントに関する年齢の上限は定められていないのです。つまり「何歳まで」といった明確な制限はなく、健康状態や顎の骨の状態が良ければ高齢でも治療が可能です。
ただし、顎の骨がまだ成長途中にある若年層は、インプラントの適応外となることが一般的です。
下限年齢の目安は成人以降
インプラント治療は、一般的には成人以降に適応します。
具体的には、顎の成長が完了する時期が目安となります。女性で16〜18歳前後、男性で18〜20歳前後とされていますが、個人差があるため、実際には精密検査によって判断します。
成長期にインプラントを埋入してしまうと、その後の骨の発育によりインプラントの位置がズレる恐れがあります。将来的に歯並びや噛み合わせに影響を及ぼす可能性もあるため、顎の成長が完了してから治療を行うことが重要です。
上限年齢は存在しない
一方、上限年齢については明確な制限はありません。
70代や80代になっても、顎の骨がしっかりしていて、全身に大きな病気を抱えていなければ、インプラント治療を問題なく行えます。年齢そのものではなく、お口や全身の健康状態が治療可否を決める基準となるのです。
実際、当院でも60代、70代の患者さまがインプラント治療を受けられ、しっかり噛める喜びを実感されています。
なぜ年齢が問題視されるのか?
インプラント治療に公式な年齢の上限はないものの、「年齢制限がある」と言われる背景には、成長段階の問題や高齢による身体の変化、治癒力の低下など、医学的なリスクが関係しています。
若年層の場合:顎の骨が成長途中であるため
成長期にインプラントを埋入すると、その後の骨の発育によってインプラントの位置がズレる恐れがあります。
インプラントは顎の骨に固定されるため、天然歯のように顎の成長に伴って動くことはありません。このため、成長過程中に手術を行うと歯並びに悪影響となってしまったり、人工歯根が安定しないことが予測されます。
若年期に永久歯を失ってしまった場合は、インプラントできる時期になるまでブリッジや部分入れ歯などを入れ、一時的に抜けた部分のスペース確保を行う必要があります。
高齢者の場合:全身疾患や骨の質の影響があるため
高齢になると、糖尿病や心疾患などの持病が増え、これらが手術や治癒に影響を及ぼすことがあります。
また、骨密度の低下や歯周病の進行によって、インプラントの固定が難しくなる場合もあります。特に糖尿病患者さまは健康な方に比べて出血がしやすい傾向にあり、高血圧の患者さまは局所麻酔薬に制限があります。
年齢を重ねることで顎骨は薄くなったり歯周組織が弱くなったりするため、インプラント治療で何らかのトラブルを生じやすいと予測されることがあります。しかし、これらは年齢そのものではなく、年齢に伴う成長段階や身体的変化が影響しているのです。

高齢者でもインプラント治療が可能な条件
高齢の方でも、以下のような条件を満たしている場合、インプラント治療が検討できます。
全身の健康状態が安定している
糖尿病や心疾患があっても、コントロールされていれば治療可能な場合があります。
持病がある場合は、事前に歯科麻酔医が体調管理することで、安全に手術を行うことができます。外科手術の際には出血が伴いますが、適切な全身管理を行うことで、リスクを最小限に抑えることが可能です。
顎の骨量が十分にある
インプラントを支える骨がしっかりしていれば、問題ありません。
骨粗鬆症のためのビスフォスフォネート服用中の患者さまも、一旦服用中止していただくことで手術が可能となるケースがあります。また、骨量が不足している場合でも、骨造成などの治療を併用することで、インプラント治療を行える可能性があります。
口腔衛生が保たれている
歯磨きがしっかりできており、歯周病のリスクが低いことが重要です。
インプラントは常に清潔にしておかなければいけません。歯磨きがしっかりできていないと歯周病にもなりやすく、インプラントを埋めた部位が歯周病になると「インプラント周囲炎」という状態になり、インプラントを抜かなければいけなくなります。
当院では、インプラント治療前に歯周病の検査やクリーニングを行い、インプラントに適した口腔環境を整えてから治療を進めていきます。

日常生活の自立度が高い
手術後のケアや定期的なメンテナンスに通院できることも大切な条件です。
インプラント治療後は長く快適に使い続けるためのメンテナンスが必要です。当院では、エアフローによるクリーニングを取り入れ、歯の表面に付着したバイオフィルムや着色汚れを効率的に除去することで、インプラントや天然歯を健康な状態に保つサポートを行っています。
インプラント治療を受ける年代別の割合
実際に、どの年代の方がインプラント治療を受けているのでしょうか。
令和4年の調査では、インプラントをしている人の年代別の割合は以下のようになっています。
- 20代:2.6%
- 30代:1.3%
- 40代:0.7%
- 50代:6.1%
- 60代:8.1%
- 70代:9.8%
- 80代:7.8%
この数値を見ると、50代以降の患者さまが多くなっていることがわかります。
この年代は、歯周病やむし歯などで歯を失う方も多く、インプラント治療を選ぶ人も多くなっているのでしょう。中高年の方は、歯肉炎など若い頃からの歯周組織へのダメージが蓄積し、ご自身では気づかないうちに歯周病が進行しているケースが多いのです。
出典厚生労働省「令和4年 歯科疾患実態調査結果の概要」より作成
20代でインプラント治療を受ける方が意外と多い理由
興味深いのは、20代でインプラント治療を受ける人の割合です。
30代や40代よりも20代の方が多くなっているのは、SNSやインターネット、テレビなどの影響で、インプラント治療への価値観が大きく変わってきていることも理由のひとつと考えられます。外傷やむし歯などで歯を失ってしまった場合、若い世代ほど審美性や機能性を重視する傾向があるのかもしれません。
これがインプラント治療が「怖いもの」や「中高年が受けるもの」といったネガティブなイメージを払拭しているのでしょう。

年齢よりも大切なのはお口と全身の健康状態
インプラント治療できるかどうかは、年齢ではなくお口や全身の健康状態で決まります。
「若いからインプラント治療は恥ずかしい」、「もう高齢なのでインプラント治療は諦めている」など、先入観にとらわれず、まずは歯科医院で相談することが第一歩です。
インプラント治療を受けるために大切なこと
インプラント治療をどうしても受けたいという方は、以下のような準備をすることで、治療の可能性が高まります。
歯磨き指導を受ける
正しい歯磨きの仕方を勉強するためにも、歯磨き指導を歯医者で受けるようにしましょう。インプラントは清潔な口腔環境でなければ失敗してしまいます。
歯周病の治療をする
30歳以上の約70%が歯周病を罹患していると言われています。歯周病はインプラントにとって大敵なので、歯周病治療にも積極的に通い、口腔状態を清潔に保つことを心がけましょう。
タバコを制限する
インプラント手術でできた傷跡が治る過程でタバコが悪影響だということが研究で明らかになりました。タバコに含まれる成分が歯茎の毛細血管を収縮させて血行を悪くさせるためです。インプラント治療が完了するまでタバコの本数を減らすようにしてください。
いのうえ歯科 道の尾オフィスでの取り組み
当院では、インプラント治療を成功させるために、事前の精密検査と口腔内環境の管理を重視しています。
特に歯周病がある場合は、インプラント周囲炎などのリスクを防ぐため、歯周病治療を先に行うことが必要になるケースもあります。歯周病の検査やクリーニングを行い、インプラントに適した口腔環境を整えてから治療を進めていきます。
また、失った歯の治療だけでなく、口元全体の審美性を整えることも重要です。例えば、ホワイトニングによって歯の色を明るく整えることで、インプラントの人工歯との調和をとることができます。銀歯が気になる方にはメタルフリー治療としてセラミック素材を使用することで、自然な見た目の口元を目指すことも可能です。
小さな虫歯や前歯の欠けなどには、歯を削る量を抑えたダイレクトボンディング治療を行うこともできます。インプラントだけでなく、天然歯をできるだけ残しながら口腔全体の健康と美しさを維持することが大切だと考えています。
まとめ
インプラント治療には明確な年齢制限はありません。
若年層は顎の成長が完了してから、高齢者はお口と全身の健康状態が良好であれば、年齢に関わらず治療を受けることが可能です。大切なのは、年齢そのものではなく、顎の骨の状態や全身の健康状態、口腔衛生の管理状況です。
50代以降の方がインプラント治療を受けるケースが多いのは、歯周病や歯根破折などで歯を失う方が増えるためですが、20代の若い方でも治療を受けられています。
「もう年だから無理」と諦める必要はありません。
インプラント治療をご検討の方は、まずは歯科医院で相談し、ご自身のお口の状態を確認することから始めてみてください。
長崎市でインプラント治療をご検討の方は、いのうえ歯科 道の尾オフィスへお気軽にご相談ください。患者さま一人ひとりに合った治療法を丁寧に説明し、納得していただいたうえで治療を進めることを大切にしています。生涯自分の歯で食事ができることを目標に、むし歯や歯周病を未然に防ぐ「予防歯科」にも力を入れています。
インプラントを中心とした総合的な歯科治療を通して、患者さまが長く自分の歯で食事を楽しめるようサポートしています。
【著者情報】

いのうえ歯科 道の尾オフィス 院長 井上 大雅(いのうえ たいが)
長崎大学歯学部卒業後、長崎大学病院総合歯科診療部をはじめ、東京・神奈川・長崎の複数の歯科医院で研鑽を積む。現在は「いのうえ歯科 道の尾オフィス」院長として、患者一人ひとりに合わせた丁寧な治療計画の立案と説明を重視し、納得いただいたうえでの治療提供に努めている。
むし歯や歯周病の「予防」に注力し、生涯自分の歯で食事ができることを目標とした歯科医療を実践。パウダークリーニングを用いた快適なメンテナンスや、ホワイトニング・審美歯科にも力を入れ、機能性と美しさの両立を追求している。
インプラントやセラミック治療に関する専門的な研修・セミナーを多数修了し、幅広い臨床経験と知識をもとに質の高い医療を提供。地域医療にも積極的に関わり、学校歯科医や歯科医師会の委員としても活動している。
■ 主な経歴
・長崎大学 歯学部 卒業
・長崎大学病院 総合歯科診療部 勤務
・西砂歯科医院(東京) 勤務
・まいおか町歯科(神奈川) 勤務
・ありがとう歯科医院(長崎) 勤務
・大村ファミリー歯科(長崎) 勤務
■ 所属・資格
・日本顎咬合学会
・日本歯科医師会
・長崎大学歯学部同窓会 本部理事
・長崎市歯科医師会 委員
・長崎県歯科医師会 委員
・滑石中学校 学校歯科医
■ 主な研修・認定
・OSSTEM IMPLANT マスター専門医認定
・Osstem AIC Master Course(Basic / Advance Surgery / Advance Prosthetic)修了
・CAD/CAM関連セミナー(形成・咬合・研磨)修了
・YAGレーザー臨床応用
・その他 インプラント・セラミック関連研修多数修了



